「そう言って貰えると助かる。
クラウスが亡くなってから、かなりバタバタしていたし、中々に事情が複雑でね……本当はもっと早くに君を迎えに行きたかったんだが」


 国王様はそう言って曖昧に微笑む。わたしは目を丸くしつつ、小さく首を横に振った。


「いいえ、国王様。わたしは昨日まで、自分が王太子様の子どもだってことすら知らなかったんですもの。こんな風に葬儀に呼んでいただけるなんて、夢にも思っていませんでした。正直今もまだ夢の中にいるみたいで、全然実感が湧かないんですけど……」

「ライラ――――できれば私のことは『おじいちゃん』と……そう呼んでもらえないだろうか?君は私の唯一の孫――――血縁者だからね」


 そう言って国王様はほんのりと首を傾げた。空色の瞳がわたしのことを真っ直ぐに見つめている。気づいたら「はい」と答えていて、わたしはとても驚いた。


(なんで? どうして躊躇わなかったんだろう?)


 本来のわたしなら『そんなことして良いんだろうか?』って絶対絶対迷う場面だ。だけど、そんなこと考える間もなくわたしは素直に頷いていた。なんだかとっても釈然としない。