「それで? おまえは一体何が言いたい?」

「――――――おじいちゃんがわたしが書いた手紙を奪った! 両親へと送らせなかった! そうなんでしょう?」


 まるで他人事のような顔をしているのが物凄く腹立たしい。折角冷静に話せていたのに、あまりの温度差に、抑えていた感情が爆発してしまった。


(おじいちゃんは本当に酷い!)


 ランスロットはあくまで騎士だ。騎士は主人の命によって動く。独断で手紙を隠したりしないだろうから、裏で糸を引いているのはおじいちゃんに間違いない。わたしからの手紙を受け取るだけ受け取って、ずっとずっとそれを隠していた。捨てられている可能性だってある。


「だとしたら何だというのだ?」


 冷たい言葉が、まるで鋭利な刃物のようにわたしの心を突き刺す。眉間がじわじわと熱くなり、奥歯を噛みしめているのに身体がガタガタと震えた。


「酷いわ! あんまりよ! いきなり城に連れてこられて、後継者になれって言われて、家に帰ることも許してもらえなくて、手紙すら送らせてもらえないなんて! 人を人とも思っていない! わたしはモノじゃないわ!
両親や友人が書いた手紙だってそう! わたし、ずっと待っていたのに! 寂しくて寂しくて、会いたくて堪らないのを必死で我慢して! いつになったら手紙が来るんだろうって。もしかしたら忘れられてしまったんじゃないかって、わたしには何の価値もないんじゃないかって! そんなことまで考えていたのに!」


 言いながら、涙がポロポロと止め処なく零れ落ちる。