(そもそも、葬儀の時にわたしの居場所はあるのだろうか?)


 だって、お母さんとお父さんがわたしを『引き取った』ってことは、わたしの存在は王室にとって不要――――もしくは目障りなモノだったんじゃないかなぁ。
 それなのに、血が繋がっているってだけで葬儀に参加するなんて――――便宜的に呼ばれただけだろうし、歓迎されなくて当然じゃなかろうか。だからこそ、こんな部屋が宛がわれているんだろうし。


(すんごい端っこの方でお祈りだけさせてもらおう)


 王女とは名乗らず――――というか自分で自分が王女だなんて思えないし――――、参列者の一人として礼拝堂の外から密かにお祈りをする。それで血縁者としての義務を果たしたことになるんじゃなかろうか。そんな風に考えながら、わたしはウトウトと目を瞑る。慣れない馬車なんて乗り物に乗ったせいか、身体がガッツリ疲れていた。


(貴族の御令嬢っていうのは大変ねぇ)


 ふふ、と小さく笑いながら、わたしはそのまま眠りに落ちた。