「(とっくにもう、向いてる)」



言葉にしたくてできなかった言葉は、私の口から出ていくことなく戻ってく。



もう大丈夫だって言って自分でおかゆを口に運んで、

薬を飲んでからは早くてすぐに千輝くんの目が閉じていく。



目を閉じて、寝ているその顔だって綺麗で整っていて見惚れてしまう。

きっとずっと、昔から夢中でしかたなかった。



目を閉じて、眠った千輝くんを見届けて冷えピタと枕の氷だけ変えて今日は帰ろうと立ち上がった時だった。



ふいに腕がパシッと掴まれて、動きを止められる。

何が起きたの?と進行方向から振り向くと、さっきまで寝ていたはずの千輝くんの目が薄く開いて、私の腕を掴んでいて。



手から伝わる熱が伝染して私も熱くなる。きっと理由はそれだけじゃない、けど。