甘く、溶ける、君に。




「……あの時は、人と一緒にいて……」


「それって、あいつ?」


「あいつ、って」


「昇降口の、遥乃のこと好きな、あいつ」



少しだけ、千輝くんの顔が歪んだような気がした。


千輝くんが言ってる"あいつ"は間違いなく田邊のこと。



千輝くんが"私の好きな人"だと勘違いしてる、かもしれない人。



あの日を境に、千輝くんのこと勝手に避けるように生活してた。


というか、その前からも。千輝くんに"好きだ"って言われて、私が最低な嘘をついてからずっと、私は千輝くんのこと避けて生活してた。



千輝くんに対して自覚した気持ちをどうにか消したくて。



千輝くんからの気持ちを受け取る権利も千輝くんに気持ちを受け取ってもらう権利も私にはなくて、

だから忘れたいのに日に日に想いは大きくなっていくばかりで。