こんなに素直にお礼を言うのはずるい。
一瞬だけでも、千輝くんの方から触れてくるのもずるい。
ぜんぶ、ずるい。
ぜんぶ、私のことどうにかさせてしまいそう。
風邪を引いててまともに喋れなくて、それでもやっぱりこうして同じ空間にいるだけでどんどん、気持ちが募ってきて。
やっぱり私はもう戻れないって。もう千輝くんから抜け出すことなんてできない。
「どういたしまして……ちょっとだけ待っててね」
おさまらないドキドキを一回落ち着けるためにも、
そう言ってすぐに自分の部屋へ向かった。
多分絶対、ドキドキしっぱなし、だけどね。



