甘く、溶ける、君に。




「いつもだったらそうしてた。遥乃が俺のこと好きになってくれて、触れたいって思ってくれるまではしない。部屋にも上がらない」



揺れる瞳に、こっちが泣きそうになる。


あの田邊が。自分の欲に忠実で、見境のない田邊がここまで言ってる。


田邊のストレートな気持ちが、伝わってくる。私には、もったいない。



「でも寂しくなったら言って。飯一緒に食いたくなったら言って。会いに行くから」


「……そんなの、私に都合良すぎるよ……」


「言ったじゃん、利用していいって」



そんなふうに切なく笑って見つめられる。



田邊の気持ちが、想いが、本気が伝わってきて、最低な私は思わず背けたくなってしまう。


本気の気持ちを受け取ることで自分がどれほど最低かを再認識してしまうから、それが怖くて。