甘く、溶ける、君に。




「食べていきたいけど……部屋上がったら襲う自信しかないよ? 俺」


「……っ、」



優しく私を見つめたまま、ひんやりとした手が私の頬に触れる。


反応してしまうのはやっぱりきっとずるいけど、自分の意思じゃなく勝手にそうなるの。



優しさと甘さと憂いを帯びて、眉を下げるのが切なくて胸がきゅうってした。

わかってるよ、田邊にそんな表情させてるのは私。



"襲う自信しかない"なんて言って、いつもみたいに欲にまみれた表情じゃなく、切なそうで。


言葉と表情が一致しなくて、今日は初めて見る田邊ばかり。