【短】夏のせい、君のせい。



そのままついて歩くと、いつも探検していた裏山に入った。

それだけで、すぐにどこへ向かっているのかはわかってしまう。



「ここ……」

「そうだよ。わたしたちの秘密基地」

「残骸だけど」



小学生の時に、裏山に作った秘密基地。

ふたりだけの秘密の場所。

俺たちしか知らない。


何か月もかけて毎日コツコツと材料を集めて、一生懸命に作った。

だけど所詮、小学生が作ったもの。


さすがに何年も経てば、それは壊れてしまっている。
ゆっくりと近づく。


ブルーシートも自転車のハンドルも、クッキーが入ってたカンカンも、もう腐敗している木の枝さえも、どこの部分に使っていたか、何の用途でどこに置いていたかまで覚えている。

このひとつひとつにも、思い出が詰まっていて、あの時のやりとりさえよみがえってきた。


「ここに置いたらよくない?」
「じゃあ、これはその隣がいいよね」
「なにそれ、天才!」

なんて無邪気な子どもらしい会話。

すべて、ふたりで作った。
思い出もすべて、ふたりだけのもの。