ここにきて、不安げになる夏奈はバカだ。
無駄な心配すぎる。
それほど、夏奈の中の気持ちが大きい。
だから不安になるんだ。
ここは、あえて言わない。
言わないほうが深く伝わることもある。
今、触れられる距離にいる夏奈の髪を耳にかける。
顔がしっかりと見えた夏奈は、嬉しそうに微笑んだ。
「夏がいいね」
「今、夏なのに」
「今年は思い出を振り返る夏にしたから」
「最後にしようとしてたでしょ」
「うん。でも、できるわけがなかった」
夏奈がいろいろ寄り道をしていた理由。
正直、そのことはむかつく。
終わりにしようという決意。
終わりにしたくないという叫び。
夏奈も混乱してて複雑な気持ちだってわかってるけど、おもしろくないだろ。
まんまと俺も夏奈との思い出を振り返ったけど。
思い出がよみがえって、仕方なかったけど。
そのおかげで、お互い改めて思い知らされた。
最後にできるわけなんてないって。
だって、どこに行っても夏奈がいる。
離れられるわけがなかった。



