……嘘だ。
そんなのは、嘘だ。
俺は言葉足らずで、大事なことはいつも秘めていた。
だから夏奈に伝わっている。
なんて、そんなことはあるわけがない。
調子のいい勘違い。
都合のいい信頼。
本当に思っていること、感じていることは正直俺自身もわかっていない。
俺がわかっていないことを、夏奈がわかっているなんて都合の良すぎる話はあるはずがない。
俺が言語化できない、表現できないことが、夏奈に伝わっているわけがない。
今まではそれでもよかった。
でも、もうよくないんだ。
夏奈にとっては。
だから俺に、言葉を求めてきた。
……最後に。



