生まれ育った家が王都にあるのに、大学生だからウチを出たい、と言うと許して貰えた。
 卒業したら就職を遠い街でする、と言ったら、協力してくれた。


 父は私を甘やかしてくれたけど、家業に関わらすつもりがないのだ。
 好きにさせてやるから、それで満足していろ。
 そう言われた気がした。



 カーティスも父と同じで、きちんと私に向き合ってくれない。

 1ヶ月に1度は手紙に返信してあげる。
 黙って引っ越してきて店に会いに来るのは構わない。
 予定がなくて気が向いたら2ヶ月に1回は会ってもいい。
 だから、それで満足していろ。


 約束の日にウチまで迎えに来てくれた事もなく、待ち合わせは食事をする店だ。
 マリオンの話をしている間は、彼は私の言葉に
耳を傾ける。

 だけど、私の話になると食事に手をつけ始める。
 段々とマリオンについて話すことがなくなって
くる。
 すると、彼は前回よりも早い時間に帰らそうと
する。