手紙をやり取りしていた頃だって、彼からの返信は。

『手紙ありがとう
 寒くなってきました
 お身体ご自愛下さい』

 そんな簡単な、便箋の半分も埋まらない文字が記されているだけ。


 ブルーの封筒を見るたびに期待して、読んで落ち込んで。
 しばらくして簡単なマリオンの近況と私の日々のあれこれを綴って送って。

 それの繰り返しだった。


 ここガーランドで働く事は知らせてなかった。
 入所式の夜、ひとりでレストランに現れた私に
カーティスは。

『あぁ、こっちに来たんだね』と言っただけ。
 驚きも疑問も彼は口にしない。


 こんな信じられない扱いをされても、私は……
カーティスを諦められなかった。

 幼い頃から欲しいモノは、直ぐに与えられた。
 兄2人からは離れて生まれた末っ子のお姫様。

 それが私、クレア・バルモアだった。