姉は将来オーブリー子爵家を継ぐ身だ。
 大きな商会の跡取り息子、キーナンさんがこの家に婿入りするとは思えない。

 何よりいくら出来が良くても……
 貴族ではないキーナンさんを、父が姉の結婚相手として認めるとは思えなかった。

 彼との将来を取るのなら、姉はこの家を捨てる
しかないが、大人しい姉にそこまで出来るのだろうか。



 姉がどうしたいのか、私からあれこれ聞くつもりはなかった。
 巻き込みたくなかった、と姉は言ったけれど。

 
 姉が彼との結婚を取るのなら、私が巻き込まれるのは必然だ。
 だけど、少しでも姉の恋を応援してあげたかった。



 それから姉とキーナンさんの往復書簡は始まった。
 大体週に2回、多いときは4回。
 私はカーティスと顔を合わせた。
 自然と他の話もするようになった。


「もう数学の小テストあった?」