あの頃からあなただけが好きでした


「あぁ、なんて! 私は何て事を!」


 姉が動揺しているのはキーナンさんの事ではなかった。
 私とカーティスの事みたいだ。


 姉は膝から崩れ落ちるようにして、私に頭を下げた。
 その大袈裟な振る舞いに、心が冷えていく。



「ごめんなさい! マリオン、私は貴女に取り返しの付かない事をしたの!」



 私は跪くジュリアの視線の高さに合わせて、瞳を覗き込んだ。
 姉に話をさせる為には、優しくしないと。


「どうしたの? 落ち着いて?」

「私……私は貴女に隠していたの」

「……」

「貴女への手紙、カーティスから渡されて……
 私は、それを捨てた……の」

「……それは卒業式の前日の話?」

 波立つ心を押さえて、静かに尋ねた。



 ジュリアの瞳は涙をたたえていた。
 美しい彼女が流す涙もまた、美しい。 
 儚げな彼女の台詞も様子も計算された様に美しく、まるで舞台上の女優のよう。


「もしかしたら、私に教えられないキーナンの事が書いてあるのか、と……思ったの。
 それで、彼から預かった貴女への手紙を読んでしまったの……」

「……カーティスは何を書いていたの?」