私はカーティスから聞かされたキーナンさんの
最期を、義兄のデイビッドにそのまま話した。
 実家に戻るのも、義兄に会うのも一昨年の姉の
結婚式以来だった。


 大学進学を機に、私がこのウチを出て6年。
 結婚式でしか会ったことの無い義兄、少し膨らみかけたお腹の姉。

 長らく精神的に不安定だったジュリアに、心底
疲れはてていた両親は、しっかりした頼りになる
娘婿が来てくれた事で、安堵したのか。
 雰囲気も柔らかくなっていて。
 実家はもう、私のウチではなくなっていた。


「これが一緒に埋められていたので、キーナン
さんだ、と決め手になりました」


 私が義兄に渡したのは、小さな箱。
 本物の箱は地中の湿度で腐っていたので、箱だけ新しくカーティスが用意した、と聞いた。


 ……中には、ジュリアに渡されるはずだった指輪が入っている。