あれからどうやって、自分の部屋に戻ってきた
のか、覚えていない。
 酔っていたからじゃない。
 お酒は既に私の身体からは抜けていた。

 ……カーティス・ブルーベルをクレアの恋人だと引き合わされた瞬間から。



 苦痛と悪寒と空しさと。
 色々ごちゃ混ぜな世界に放り込まれたまま、帰路に着いた私だった。


「お疲れ様でした!
 私はここで失礼します。
 こちらの事はお気になさらず、おふたりは何処へなりとも……」


 これ、普通に言えてた?
 それさえも覚えていない。



『婚約披露パーティーにも絶対に来てね』と、私に抱きつこうとしたクレアを躱したことは覚えている。

『時間も遅いので、送りましょう』と、店の前でカーティスに言われたが、手だけ振って別れたのも覚えている。


 治安のいいところを探そうな、と笑った17歳の貴方のことも覚えているのに。