あの頃からあなただけが好きでした


 マリオンはいつもよりたどたどしいけど、ちゃんと希望を伝えられてる。
 その様子に舐めてた感じの店員も、居ずまいを正した。
 だから、俺も。


「俺はこっちで働くんで、彼女の近くで住もうかと」

「まぁ、まぁ、お客様の話は後で聞きますよ」


 マリオンの目の前で、さりげなく俺を軽く扱う男にムカついた。
 こいつの目には、俺はどう見えているんだ?



 取り敢えず1年以上先の話だし、実際に物件を
見るのは合格してからだとマリオンは遠慮して、情報だけいただけませんかと、男に丁寧に言った。
 それに一層好感を持ったのか、男は真面目にマリオンに教えた。


「王都以外からの進学なら、合格後に大学事務局からおすすめの物件の紹介もあるし……」


 ここで男は言葉を切って、俺をチラッと見た。


「新入生なら学生寮に入るのが一般的ですよ。
 門限とか色々と制約はあるけど、大学の構内
だし安全だから」


 俺だって、そんなことはわかってたけど。
 近くに住みたかったから、こっちに連れてきたんじゃねーか。
 夕食とか休日とか誘い易いから!

 囲い込みじゃないけど、俺以外親しい人間が居なかったら、頼りにしてくれるだろう、と思ったんだよ!