私はクレア・バルモアが嫌いじゃなかった。

 ……と思おうとしていた、ずっと。
 女性であることの利点を最大限に活かして、要領よく、欲しいものは欲しいと素直に口に出せる
ひと。


 そんな風に彼女のことを捉えていたことこそが今なら正直な気持ちでしょ、と自分に指摘出来る。


 私はずっとクレアが好きじゃなかった、ってこと。
……むしろ嫌っていたから、目の前ではいつも
笑っていたんだ。



「ごめんね、何だか恥ずかしくって。
 カーティスからもマリオンには内緒にしてて、って言われてたし」


「彼と知り合えたのも、マリオンのお陰だから」


「私達、コーカスに行ってからだから、貴女に話す機会がなくて」


「来月に婚約披露して、来年には結婚するつもり。
 式の時、良かったらブライズメイドをして貰えないかしら?」