あの頃からあなただけが好きでした


 そうだな、信用している。
 この男にバージルを助けても利はない。
 人は利のある方へ傾く。
 そこが信用出来るところだ。



 バージルの最期に立ち会えば、バージルの臭いが付いてしまう。
 来月にはクレアの恋人として、王都でマリオンに会う。
 彼女に汚れた俺は見せられない。


 マリオンだけが、利益だの、何だのの……
 そんなところから遠いひと、だから。



「蹴りか、拳か。
 最後に一発入れるの、いかがですか?」


 キーナンの無念と俺の……
 家族の恨みを込めて、バージルを痛め付けろ、と男が誘惑する。

 その誘惑に抗う為に深呼吸をし、時間をかけて自分を落ち着かせ、男に手首から先を振った。


 コイツには、そんな価値も無い。


 それから俺は契約金の後払い分を男に渡した。
 この男と顔を合わせるのも、ここを最後にしたかったからだ。


 コイツをどこに埋めたかの報告も要らない。
 その場所が心にずっと残ってしまう。