色も素材も様々で、どんなものをマリオンが好むのかわからない。
 何を選べばいいか、見当もつかないし。


「リボンの長さもお決めください。
 その長さでカット致します」


 長さも? 俺には無理だ……
 全部この優男店員に任せよう、と頼んだら。
 色だけでも指定してくれ、と言われた。



 マリオンがいつもしているのは、目立たないような茶、黒、紺色。
 違う色がいいと思って……目についたリボンを
指差した。

 店員がそれと、同系色のいくつかを並べて見せてくれて、その中から俺は最初に目についたリボンを選んだ。


 店員がニコニコして言った。


「いい色です、お客様の瞳の色ですね」


 ええっ、と思ったが。
 既に店員はハサミを入れていた。
 もうキャンセルは出来ない、と悟った。


 俺の瞳の色のリボンなんて。
 ……恋人にもなっていないのに。
 お土産だからと。
 気軽に渡せるわけがない。