あの頃からあなただけが好きでした


「雇ったヤツに、全部やらせろ。
 お前はくれぐれも手を出すなよ。
 それから、その時には……立ち会うことも禁止だ」

「あの、湖のところ……あそこにしますか?」

「キーナンの近くは、絶対に駄目だ。
 もっと奥の、誰も来ないような侘しい場所にするように言うんだ」


 憎々しげに親父が言った。
 バージルには絶対に会わない、顔を見たら自分を抑えられない、と言う。


 自分の親父で、俺も共通の痛みや怒りを持っているが。
 その言い方だけで、どれ程あの男を憎んでいるのか察して、少し寒気がした。



 コーカスの倉庫の前で受け取りに立ち会う。
 バージルは荷馬車の荷台に、麻袋に入れられ転がされた状態だった。
 袋の紐を緩めながら、運搬してきた男が俺に問う。


「結構、痛め付けたので人相変わってしまいましたけど、本人か確認しますよね?」


 しばらく考えて、男に断った。
 バージルの顔を見たら、俺もどうなるかわからない。

 親父からは絶対に、自分の手を出してはいけないと言われている。
 これはもぞもぞ動く荷物だ、と思うことにする。


「いや……いい、俺は受け取ったから。
 取引完了日が明日か、1週間後かは、あんたに任せる。
 俺は立ち会わないが、出来るだけ森の奥にしてくれ」

へえぇ、と男が薄く笑った。


「いいんですか?確認しなくて?
 信用してもらってんですかね?」