スコットは何でもわかっているみたいに言うけど。
 自分の事になるとわかってないね?

 人の事なら見えているのに、お前こそ自分の隣に居る男の本性がわかってない。
 俺がお前を手に入れる為、どんなに頑張ったかわかっていない。
 綺麗事だけでは、欲しいものは手に入らない。



 醜い男が真心を捧げても気味悪がられて。
 美しい男が耳当たりがいい言葉を吐いたら。
 それは真実になる。


 俺とあの男は、それがわかっていて。
 お前とマリオンが、わかっていないだけ。



 隣に居る俺も、あの男と同類だよ?
 俺はこれからもお前との間に入ろうとするものを、排除するからね?


 バイバイ。運命の恋のヒロイン、マリオン。
 どうぞ、腹黒なカーティスとお幸せに。
 出来ることなら、君にはもう2度と会いたくないな。



 カーティスに抱き締められたマリオンが見えた。
 これで良かったんだ、落ち着くところに皆落ち着いたんだ。



 俺はスコットの肩を抱いて、反対方向に歩きだした。


「家族が減ったみたいで寂しいんだろ?
 俺もマリオンが居なくなって寂しいよ……
 皆を集めてパーティーとかはいいから、これ
からはふたりだけで誕生日を過ごさないか?」


 
 そして、今日も俺は。

 優しい顔を愛する者に向ける。