もう他の店など行きたくない。
 こんな恥ずかしい思いは1度だけで勘弁して欲しい。



 どうしていいかわからない俺に、若い男の店員が声をかけてくれた。
 助かった、と心底感謝した。
 ジュリアの年齢と立場と予算を伝えた。


「これなどいかがでしょうか?」

 店員が見せてくれたのは手首に巻くブレスレットとか言うやつ。
 ネックレスや指輪は、予算を超えるらしい。

 それと……


「リボンて……有りますか?」


 マリオンは髪を下ろさず、頭の上の方でひとつに結んでいることが多かった。

 夏休みが終わって、2年生に進級した日に。
 王都に行ったお土産だと渡せたらいいな、と思ったから。
『ついでだから、気にするな』と気軽に受け取って貰えるように普通に言おう。



 店員に案内されて、リボンが置いてあるコーナーへ行くと、ものすごい種類のリボンがあって目がチカチカした。