スコットは元々は異性愛者だった。
 俺だってそうだ。
 王都警察隊所属なので、訓練だったり入浴中だったり、同僚の裸を見たりするが。
 誰に対しても欲望は持たなかった。
 俺がその気になるのはスコットひとりだけだ。


 男と付き合うなんて、スコットが最初で最後。
 高校でそうなったが、もし出会わなければ。
 お互いに女性と結婚していたと思う。



 だからもし、もしも……
 スコットとマリオンがそういう関係には絶対にならない、と言いきれなくて。


 一番恐れていたのは、いつか『子供が欲しい』と、スコットが思い始めたら。
 マリオンに協力して貰おうと言い出さないか、という事だった。


 それで俺は、スコットからマリオンの初恋の話を聞いて。
 良い機会だから、彼女にはスコットの隣から消えて貰おう、と思った。


「マリオンは後で泣くよ、絶対」

「どうかな? 結構幸せになるんじゃない?」


 納得してないようにスコットが俺を睨む。
 いいな、俺はそんな表情のスコットも好きだ。