カーティスとクレアが恋人ではなかったのだ、とわかって嬉しいはずのに。

 3人で会った夜のクレアを思い浮かべると、カーティスに協力した偽装だった、なんて信じられなかった。

 彼女は私を睨んでいたし、腹を立てていた。
 それに今日だって、トリシアが教えてくれたクレアの言葉は
『しゃしゃり出てくるな』だった。 
 

 つまり私は、彼女にとって邪魔だった? 
 そんなクレアに本当の恋人が居た?
 あのクレアを襲った人が本当の恋人だったなんて、それこそ本当なの?

 考え込んだ私にブレナーが尋ねた。 


「またマリオンはあれこれ考えちゃってます、って感じだな?
 アイツからは何も言われていないの?」

「教会の帰りに会った時、君は俺の運命だ、とかは言われた」


 あの日、あの公園で、彼は立ち上がった私を見つめて。

『どんな形であれ、君は運命のひとだから』


 そう、カーティスに言われたけれど。

 言われたと、話すそばから気恥ずかしい。
 絶対、スコットなら爆笑してる。
 聞かされたブレナーは……
 良かった、笑ってない。


 ブレナーの手が、私の頭をわしゃわしゃする。
 彼からはよく私の事を昔飼っていた子犬に似ていると言われて、かき混ぜるように頭を撫でられた。


「そこまで言われて、何が足りない?
 ずっと追いかけられたくて、わざと引き伸ばしてる?
 駆け引きしている余裕があるんだ?」

「駆け引きなんて、そんな事してないよ!」

「じゃあもう、アイツの言う運命ってヤツに飛び込めよ」