私が出したお茶を飲みながらブレナーが言う。

 契約婚をクレアから申し込まれて、本当の恋人の為に彼女が言い出したと知ったカーティスが偽装する事を提案した?


 事件の調書を取って、カーティスから説明を受けたブレナーから聞いても、納得出来ない。
 明日全部話す、と彼が言ったのはこの事なのだろうか……


「小説とかで流行ってるらしいけど、実際にそんなのをしようとするヤツが居るなんてな?
 アイツもだけど、君もね。
 初恋を拗らせすぎてるな」

「……」

「マリオンも素直になったら?
 アイツがクレアとそういう関係じゃないのはわかったんだし、スコットの事だってわかって貰えたんだし。
 誰に何の遠慮がある?」


 ブレナーの言葉に心が揺れる。
 そうだ、誰に何の遠慮も要らない。
 今なら、私はカーティスの胸に飛び込めるのに。


 それなのに……すっきりしない……

 胸に渦巻くモヤモヤした、この感情は何だろう?