静かに話すブルーベル夫人に、彼女達の勢いは
削がれたようだったが。
 ひとりだけ最初に私にくってかかった女性だけは言い返した。


「いえ、カーティスさんと婚約するのだと聞いていたからです!」

「クレア・バルモア様はカーティスの母である私が知らない女性です」


 きっぱりとした返事に黙るしかなかった彼女に同情するようにトリシアが優しく話しかけていた。


 ◇◇◇


 その夜私の部屋を訪ねてきたのは、仕事を終えたブレナーだった。


 あのパーティーはブルーベル夫人が仰っていたように、婚約披露パーティーではなかったらしい。
 そして、あのふたりは私の前では恋人だと偽装していた、と聞かされた。


「私の前でだけで偽装、って……」

「何を思ってそんな真似をしたのか、詳しくは
ブルーベル本人から聞けば、いいんじゃないかな」