クレアは可愛い妹だ。

 多少我が儘で、考えの足りないところがあっても。
 聞ける範囲の我が儘は、兄として叶えてやりたいし、考えの足りないところも、妹だと思えば受け入れられた。


 クレアはウチのお姫様なんだから。
 ……だが、今回はもう。
 無理だった。


 ◇◇◇


 ガーランドで恋人が出来たのだ、と。
 クレアが手紙で知らせてきたのは去年の事だ。
 相手はレストランを経営する商家の後継者だと
言う。


 母は舞い上がり、早速ふたりに会いにガーランドへ行こう、と父を誘った。
 父は母に落ち着くように、と言い含めた。


 昔からクレアは恋愛関係が派手な娘だった。
 目立つ外見から男達に声をかけられることも多く、本人も直ぐそれに応えてしまう。

 
 中学の頃からそっちの方面で遊び始めて、高校では多くの男子生徒と浮き名を流したが、最後に付き合ったのは妻子持ちの教師だった。