マリオン・オーブリーから事情、もしくは言い分を聞く限り。

 クレア・バルモアは大した女だと思う。
 それは勿論、良い方の意味じゃなく。

 後からバレてしまうのに、どうして嘘を吐いたりするんだろう?
 私には理解出来ない。


 そんな風には見えないだろうけれど、私は神様を信じている。
 どこかで神様はご覧になっている、と幼い頃から両親には言われ続けていた。


『神様の前で、顔をあげていられる行いを心がけるように』


 親からの教えは実家から独立した今でも、私に染み付いている。


 マリオンはくだらない嘘を吐くようなひとではないので、きっとクレアの恋人の件は本当の事だろう。
 だが、その話を私が広めるのはどうかな、と躊躇した。
 理由はどうであれ、その男性はクレアを選んだのだ。