私が言い出した契約婚と、彼が口にした偽装婚は、どう違うのだろう?
 詳しく聞きたい気持ちはあるが、説明を求めて、それでカーティスが面倒になって。

『じゃあもう、いいよ』と言い出したら? 
そう思うと聞けなくなった。


 今なって考えたら、ちゃんと確認すれば良かった。
 こんな扱いをされるのなら。



 ◇◇◇


『アフロデリア』のオープニングパーティーにも呼ばれなかった。

 開店前に関係者にお披露目をする大事なパーティーだ。
 どんな感じにするのか、誰を招待するのか、は聞いていた。

 尋ねたら隠すことなく教えてくれるカーティスに、私は彼の隣に立ち、招待客に挨拶をする自分を想像した。
 具体的な日程を聞いていないので、まだ先の話だと思っていたのに。


「オープニングパーティー?
 あぁ、無事に終わったよ」

 どういう事? いつの話か聞いていない!



「軌道に乗るまで、王都に行っているから」

 デートの回数がこれからは増えるかと思ったのに、しばらくガーランドを留守にする、と言う。



「今はまだマリオンに会うつもりはないから、君の出番はまだだ」


 マリオン!マリオン!マリオン!うるさい!