新しい恋を始めたのは貴方。
 そのお相手を私の元ルームメイトにしたのも貴方。


 私はふたりを、これからも見続けなくてはいけないのに。
 辛いから会わないとしても、これからも貴方達の噂は耳に入ってくるのに。 


 目を閉じても、耳を塞いでも……
 これからも、ずっと……


 貴方が見せる気まぐれな視線や思わせ振りな態度は私をイライラさせる。
 愛が恨みになる前に、貴方を想う事をやめさせて欲しい。


「申し訳ないけれど、ブライズメイドの話は。
 やはりお断りさせて。
 大丈夫かと思ったけれど、絶対に出来ないわ。
 ……来週の婚約披露パーティーは出席させて貰うけれど、貴方達に会うのはそれを最後にしたい」 

「マリオン、俺は……」

「その後はクレアにも、貴方にも会わない!」


 私は立ち上がった。
 もう会わない、とわざわざ口にしたのは。
 彼にそう言うことで、けじめをつけようとしたからだ。


 私を見上げて、苦し気に、絞り出すように
 カーティスが言葉を口にする。


「君をずっと見ていたかったから、クレアに付き合う事にしたんだ。
 俺にとって……どんな形であれ、君は運命のひとだから」


 私が彼の運命?
 だからクレアと付き合う?


 彼が何を言いたいのか理解できなくて、私は逃げるようにその場を離れた。
 追っては来ないが、私の知らないカーティスに怖じ気づいた。


 別れ際に見た彼の……ほの暗く蒼い瞳に。
 飲み込まれそうで怖かった。