『恩寵の日』の礼拝が終わり、私は渋るスコット達と別れてカーティスと公園に向かった。

 心配性の弟スコットの言いつけを守るつもりではなかったけれど。
 トリシアから聞いた話では、クレアがカーティスとの婚約を広めているらしいので、変な噂になりたくはなかった。

 こちらは一応、嫁入り前の娘だし、絶賛恋人募集中だし……


「すごく離れて座るんだ?」

「すごく、でもないわ。
 ……貴方にはクレアが居るから」


 公園の噴水が見えるベンチに、カーティスから離れて座る。
 彼が敷いてくれたハンカチーフを取り上げ、畳み直して彼に手渡す。
 カーティスはそれを固く握りしめた。


「ジュリアには義兄から話して貰ったの。
 そして、ジュリアに謝罪された」

「……」

「貴方から預かった手紙を抜いて私に渡した、と懺悔されたわ。
 改めて私からも謝るわ。
 知らなかったとは言え……貴方を待たせてしまった。
 ごめんなさい」

「……君が謝ることじゃない」

「3年前、大学まで来てくれたのに、気がつかなくて。
 ホテルで待たせたこともごめんなさい」

「……」

「私が謝ったのは、これで終わりにしたかったから。
 クレアの夫になるひとに想いを残したくない」


 そう言う私を見つめるカーティスの瞳が揺れていた。
 どうしてそんな目で私を見るの?