「ねぇ、らおくん聞いてる？」

「………」

「らおくんってば！」

「……あ、あぁ」

俺はぼんやりと奥に見える幼なじみの深山佳乃花に目を向けていた。そして、俺は付き合っている橋本 沙奈先輩の言葉が全然耳に入らなかった。

「…もういいっ！らおくんは私のこと好きじゃないよね。別れよ、らおくんから私を思った行動取ってくれたことないし。そんな子と私、付き合いたくないから」

「………んえっ！せ、先輩、沙奈先輩っ！」

俺はマッグの座席から勢いよく立ち上がったが、沙奈先輩はスタスタとカバンを肩からぶら下げて出て行ってしまった。

「…まじか、でもまぁ、いいや」

俺は悲しくもビクともしなかった。周りの奴らに自慢気に付き合った沙奈先輩だけど、佳乃花はそんな俺見ても見向きしなかったもんな…｡