強くてニューゲームな契約彼氏ー恋も愛も無理ゲーではありません

 空腹感はままある。
 ピザは好き、あかりはマルゲリータが好きだ。

「着替えて?」
「服を変えたりヘアスタイルを変えてさ、1日でバリエーションを撮っておきたい」
「なるほど。ですが着替え持ってきてないんです。取りに帰りますか?」
「帰らなくていい」

 服を用意するとヨリは退出し、あかりもフロアに出た。変わらず静まり返っており、あかり達以外の気配がない。

「お姉さんは先に行ってて」
   
 倉庫の脇にある部屋に入ったヨリから突き当りの部屋へ向かうよう指示が飛ぶ。

「デリバリーのピザで良ければ頼んでおきましょうか? チェーン店のピザは食べられませんか?」

 着替えを用意して貰っているのに座って待つのも申し訳ない。音を立てて漁る姿を覗かぬよう、ドア前で声を掛けた。

「……ねぇ、オレってイタリア人シェフが作った本場のピッツァしか食わなそう?」
「いえ、そういう意味ではなくて。こういう所に住める人はファストフードより、健康志向で有機野菜を食べてるのかなと」

 やや間があって、ヨリが吹き出す。

「いやいや絶対そういう意味じゃん! あはははっ、すごい偏見だ。食うよ、食う食う。マルゲリータ頼んでおいて」

 口角を上げただけの微笑み方をする印象が強いヨリ。扇情的に舌を見せたりもするが、声を上げて笑う顔は殆ど見せていない。

 あかりは笑顔が見られないのを残念に思いながらピザを手配する。いつもは基本のマルゲリータを食べるが、今回は割高なシェフおすすめ本格マルゲリータを選ぶ。