別人…?




「太一、低血圧だからしぬほど朝機嫌悪いの」




はは、なんて、乾いた笑いを聞かせる一葉ちゃんもきっと日常的に被害にあっているのであろう。


できることならヤノくんは誠実イメージのままでいてほしかった…




「おい旺」

「チッ…どこのどいつの許可もらって足蹴にしてくれてんの」




眠っていた狼の鋭い目が開いてギラリと光った。




あぁ、さっきまであんなに強気だったヤノくんもすっかり我に返っていらっしゃる。


だって一ノ瀬くん、いつもの50倍は人相が…




「ちなみに旺太は太一相手だと誰よりも寝起き悪いよ」




いやぁ、旺太が起きてよかった。

なんて音符のつきそうな明るい声で言った一葉ちゃんはきっとこの景色見慣れてるんだろうなぁ。




いや待てよ、そもそも私も家にいたらなかなか寝起きは悪い方だ。



今日は目の前の景色が衝撃すぎて一瞬で覚醒したけど、いつもなら30分はベッドでぐずる。


飛び起きることなんて絶対に絶対にありえない




そう考えるとヤノくんも一ノ瀬くんも低血圧なんじゃなくて、ただ一葉ちゃんが朝に強いだけじゃ…