「いっ、いちのっ…なんで、のせくん…!」


「よし、いったん落ち着こっかあみぽん」


「一葉ちゃん、え…あ、え?」




しゃがみこんで視線を合わせ私の肩をぽんとたたく一葉ちゃんは間違いなく一葉ちゃんだった。


ということは、これ夢でもドッキリでもなくて…?




「夢じゃないよ、おはようあみぽん。あんなかったい男の腕の中でいい夢見れた?」




一葉ちゃんの指さす先に艶めく金色の頭。




――そう、紛うことなき一ノ瀬旺太の頭である。



そして私はさっきまでその腕の中でぐっすりと眠ってたわけで…




「…ぇ?」




状況理解が追いつかずにただ間抜けな声をあげるだけだった。


なんで私が、一ノ瀬くんの腕で…




昨日はおやすみって言ってどこかへいなくなったはず。

決して一緒になんて寝ていない。そんな記憶ない。




「おい起きろデカブツ。俺様の家でみんなのアイドル抱いて寝るなんて聞いてねぇぞ、絶対しばく。起きろ。」




目を疑うような光景だった。


だってあの誠実そうな…というか、優しそうなヤノくんが悪態をつきながら一ノ瀬くんを足蹴にしてるじゃないですか。