「金髪もその時代の名残り?」


「…まぁ、半分そう。」


「半分?」





言葉を濁した一ノ瀬くんに何か引っかかる。


もしかして…彼女か何かに金髪がいいって言われたとか…




「グレてた時期に勢いで金髪に染めてからヤンキーだのなんだの避けられるようになったから」


「え?」


「…人に囲まれるのとか嫌いなんだよ。この顔のせいで知らない女に囲まれたり触られたりうんざりしてた」




たしかに、一ノ瀬くんの厳つさや怖さは半分以上校則違反の金髪から来てるもの。



女の子たちもオオカミはイケメンだけど声掛けられない、って言ってたっけ。




「たしかに、私もはや黒髪の一ノ瀬くん想像できないもん」



「入学した頃には既に金だったからな」



「…もう黒にしないの?」




不意に出た疑問だった。


特に深い意味はなかったのに、一ノ瀬くんはピクっと眉を動かして。




「なに、黒髪の方が好き?」




サラッ…と私の髪の毛を手ですくって不敵に微笑んだ。




その顔があまりにも綺麗で、ぶわっと顔に熱が集中する。



だめだめ、赤くなったら負けだよ私。

一ノ瀬くんのことだからからかってるに決まってるのに。