「…いないじゃん、一ノ瀬くんのばか。」





あのまま私が嫌いって言っていたら、一ノ瀬くんはどうしたかな。



じゃあ別れる?なんて言われてたんじゃないかな。


エミリさんの所に行く、だから私はもういらない。なんて、そんなこと一ノ瀬くんじゃありえないのに…





なによりも、一ノ瀬くんを信じていないような考えばかりしてしまう自分が一番最低だ。





ブーッ、ブーッ、ブーッ……





「……っ、もしもし」


『おー、起きてた?家ついたら連絡してって言ったのに連絡来ないから心配した』


「…壮馬、さん…」





一ノ瀬くんかと思って名前も見ずにパッと出た私は少しガッカリしてしまった。



善意で店に連れてってくれて、勝手にお酒を飲んで帰れない私を助けてくれて…

そんな壮馬さんには本当に本当に申し訳ないけど。





『旺太、来たでしょ』


「…なんで」


『あの後俺らまたコンビニで夜中までたむろってたんだけど、バイト終わりでダッシュで旺太来て俺に殴りかかってから羅奈ちゃん家行ったから』


「掴みかかっ…え?」


『太郎が俺ら2人抜けたこと旺太にチクリやがってさ』




痛かったんだよ、アイツ馬鹿力だから。なんて笑う壮馬さん。


笑い事じゃないと思うけど、やんちゃグループの人たちにとっては普通なのかもしれない。