ブーッ、ブー……


『旺太さーん!!すいません壮馬さんが!!』


「太郎、お前次会ったらシメる」


『勘弁してくださいよ、壮馬さんが勝手に決めたんすから。コンビニで羅奈さんに会って旺太さんの彼女だって知った途端エミリさんの名前出して…』



太郎の言葉に眉根を寄せる。


壮馬さん以前にひっかかるところがいくつかあった




「…なんで羅奈の前でエミリの名前が出てくんの」


『俺ら界隈で旺太さんの彼女って噂流れてるからっすよ。バイト先の年下の超可愛いエミリって女と付き合ってるって』


「それ羅奈は」




『聞いてましたよ。複雑そうな顔してたし、なんならそこからずっと』

「お前やっぱシメる。じゃーな」




電話を切ったスマホをマットレスにぶん投げた。

…クソ、イラつく。





勝手な噂羅奈に言った壮馬さんにも、店で気づけなかった自分にも。




何よりも、羅奈を不安にさせて泣かせた自分が一番最悪だ。


羅奈が何の連絡もなしにバイト先に来るなんて、しかも壮馬さん達と来るなんておかしいとは思ってたのに。





「……ごめんな」





眠る羅奈の目元の涙を拭い、優しく頭を撫でた。



起きたらちゃんと話をしよう。


言わなければいけないこと、訂正しなきゃいけないことがたくさんある。