「わかったわかった、帰る帰る。ほら太一行くよ!リア充の邪魔できないから!」
「おい旺太!てめえ!俺らの高嶺の花むしり取るなんて許されるわけが」
「うるさいよバカ太一、はやく!」
お幸せに〜♡なんてヤノくんを掴んで引きずりながらかちゃんは嵐のように去っていった。
「付き合っ…た、の?」
ぽかん、と口を開けて一ノ瀬くんを見る私。
我ながら、絶対間抜け面。
でもまさか、言葉をかわさずとも交際が始まるなんて。
初心者マーク所持者の私は知るわけもなかった。
「違うのかよ」
「だって何も言われてない。そうだよ、私は好きって言っちゃったけど、一ノ瀬くんは何も言わないじゃん」
「キャラじゃない。そもそも好きでもない女にキスなんかしない」
ずるい。
何それ。
“ 好き ” とは言われてないのに、その言葉だけで十分愛を感じてしまった。
「…付き合って、羅奈」
「……っ、はい…」
拝啓 天国のお母さん。
空から見ていますか?いや、見られちゃいけないシーンも多々あったのですが。
友達すらろくにいなかった私に、彼氏が出来ました。
そんな夢みたいなことあるのかな。
自分に恋人なんて、想像したこともなかった。
やっぱり、夢かも ――



