*     *     *




「……やっと寝たな」





自分のベッドの真ん中に眠る女の髪を掬って指で軽く遊ぶ。


なんだかんだ、寝ろって言ったらすぐに寝た。




「……ちのせく…」





熱で顔を赤く染めながらも幸せそうに眠る羅奈の口から自分の名前がでれば、自然と笑みがこぼれてしまう。




「何回呼ぶんだよ、ここにいるっつの」




温室育ちのこいつに俺たちのような半オールで泊まりなんてものは体が無理をしたのかもしれない。


おまけにバカ双子はうるさいし、何時間もぶっ通しでゲームするし。


メジャーなゲーム機を始めてみると言っていたことだ、きっと蝶よ花よと育てられてきたんだろう。





ガチャ


「旺太ー、あみぽんの荷物全部持ってきてやったわよ」

「シー」





こんな雑音で起きるようなタイプじゃなさそうだけど、せっかく気持ちよさそうに寝ているからそっとしておくとしよう。

その思いでやってきた噂のうるさい双子はリビングに追い返した。




なんてのは半分嘘で、ただこの間抜けな寝顔を独占したかったっていう気持ちの方がでかいけど。




そんな柄でもなければ、こいつは彼女でもないから言いはしない。

俺だけ知ってればいいよ、そのまぬけづら。