「たまには違う味」

おふくろの味っていうのが広告を賑わす
年の瀬るんるんな日曜日

お節なんて食べない僕を見て
母が着物姿で年始を向かう

僕も少しだけ意識をして
普段と違う事をしながら
歳の離れたお袋の背中を擦る

お袋に無理されると何だか急に虚しくなる
小さくなっていく文字に段々とピントがあってきて

無理して買ったお袋の眼鏡の掛け心地を試して
念には念を入れて
初日の出に食べる今年最初の味を味わう笑顔を想像する

綻ぶ笑顔が思わずおはよう
誰の声か分からずお袋
いつもの部屋の隅を掃く

「そっと囁く君のかかと」

机の隅に丸まった紙と鉛筆
言い過ぎた僕の口を閉ざす

僕の文字を真似するものだから
君に初恋の詩を書きたくなる

出会いと別れは突然に
君の背中は追わないと

どうせ直ぐに戻るよな
予感が僕を座らせる

一瞬ぐらつく風景

黄昏に君の影待つ玄関の
格子の影見て吹き出す焦り

遠くの影に色づく夕日



「…を伝えたくて」

期待外れの日々へ僕が考えた応援をしよう
まだまだ訳の分からない言葉が流行っては廃れる

流行らないものが残り流行るものが消える

だからかなこんな気持ちになっていく


…を伝えたくて僕から言葉を奪っていった
…を伝えたくてふやけた風景に倒れる

だからかな武士は前のめりって言葉があるのは
進みたい気持ちは最後の屍にまで示す姿

…を伝えたくて燻る毎日
…を伝えたくて君の手を離した

猛々しい猛暑でも汗だくで僕の手を引っ張った
あんな生き方に憧れた幼き日々をこの一節に賭す

感情なんて要らないときもあったんだ
煩がられて追っ払われた日々もあった

もう一度言うよ

…を伝えたくて君の事を傷つける
…を伝えたくて君に傷つけられる

こんな事正気じゃなくたって
そういう風な世界もあるんだ



うん。
伝えたいことはあるけれど、伝わるためにはどうすればいいんだろうね。
伝わらなかったら自分に言い聞かせる、自問自答の世の中に一つ投げる一石。