そんなことを考えながら先にケーキに手を伸ばしそうになったけれど、まずは先輩が淹れてくれたコーヒーを飲みたくて、フゥと一息吹いてから口に含んだ。
「あ、これ、あまり苦くないんですね」
「だろ。グァテマラコーヒーなんだ。フルーティな酸味があって香りも華やかでケーキにも合うんだよ」
「確かにコクもあるのに、あと口スッキリしてます」
そう言いながら昂良先輩をチラッと見ると、私を見て微笑んでいる。
またドキッとしてしまった。
もう、その妖艶な目つきやめて欲しい。
「さすが、分かってんじゃん」
「いえ……なんとなくです」
昂良先輩はコーヒーの話をする時は本当にイキイキして、まるで自分が褒められているかのような嬉しそうな顔をする。
昔、一緒にカフェ巡りしていた時もそんな顔してたっけ?どうだったのか忘れてしまった。
「じゃ、じゃあ、いただきます!」
変な緊張感を抑えるため、掬ったイチゴとスポンジを勢いよく口に入れた。
思ったより甘すぎず、ついパクパクと食べ進めていると先輩はまだ私をじっと見ている。
「な、何か付いてます?」
「いや、そうじゃなくて、やっぱ相変わらず甘い物はよく食うなと思って」
今日も食事した後、デザートを頼んで完食もしていた。
軽食だったし私にとっては普通のことだったけど、日に何個も甘いものを食べるのはさすがに食べ過ぎかもしれないと今さら思えてきた。
まだ3口しか食べてないけど、もうこれくらいにしておこうかな……。
そう思ってそっとフォークを置いてから、口の中のケーキをコーヒーで一気に飲みこんだ。



