「先輩にこんな趣味があったなんて、知らなかったです」
「お前、俺が珈琲研いた時の活動見てなかったのか?」
「知ってますけど、そんな積極的にケーキ食べてましたっけ?」
昔一緒にカフェ巡りしてた時はコーヒーだけじゃ物足りなくて、私がケーキを頼むついでに先輩にも無理やり注文させて、私が二人分食べるというシステムだった。
なのに、今は自分で買ってまで食べてるなんて先輩も変わったなぁ。
「お前がケーキ食ってたの美味そうだなっていつも見てたんだよ。その反動で今は甘い物無しじゃ物足りなくなっただけだ」
「じゃああの時言ってくれればよかったじゃないですか。分けてあげたのに」
「幸せそうに食ってる千春の顔見てるだけでお腹いっぱいだったんだよ」
「――っ!」
ムスッとしながら視線が横を向いている。
このあいだから、先輩の意外な告白にどう対応していいか戸惑ってしまう。
わだかまりが解けたとはいえ、先輩は私のことなんとも思ってないはずなのに、どうしてそんな言葉を口にするのか……。
全然慣れなくて、その度に固まってしまう私。
「私……そんなに食いしん坊じゃないです」
「そうは思えなかったけどな。さっきもパフェ食ってたし」
「じょ、女子には普通なんです!」
「はは、なんだそれ。とりあえず食うか」
「……そうですね」
甘い言葉には慣れなくても、毎回の言い合いには段々慣れてきたところはある。
でも昔よりまだ距離を感じるのは、先輩が他の誰かを好きだから……なのかもしれない。



