「それから、欲しいものもまだ決まってないだろ」
「?」
「先週の夕飯のお礼。それも次の時までに考えとけよ」
「あ……は、い」
そう言われてもやっぱりこれといって欲しいものは見つからない。
夕飯食べさせたくらいで何かを買ってもらうほどじゃないのに、どうしたものか。
それなら適当にハンカチくらいにしたほうが先輩も私も気を遣わなくて済むかな?
そんなことを考えていると「さて、行くか」と促されてお互い席を立った。
自分の分のお会計を済ませようとレジの前に立つと「付き合ってもらってるから奢る」と言われ、強引にレシートを奪われてしまった。
さっきも夕飯のお礼を買ってくれるという話をしたばかりなのに、また奢ってもらうなんてとんでもない!
「自分の分は自分で払います!」と言ったが聞いてくれない。
暫く「払う」「いらない」という押し問答を続けていると店員さんに「次の方がお待ちなので……」と軽く注意されてしまった。
振り返ると支払いを待つ客が数人並んでこちらを険しい顔で見ていたため、素直に奢ってもらうことにした。
恥ずかしくて俯きながら後ろで待ってようと思ったのに、先輩から「外で待ってろ」と言われそそくさとお店の自動ドアを出たのだった。
「千春?」
ドアを出た瞬間、聞き覚えのある声に顔を上げると、聡太がお店の立て看板メニューの前に立って料理を選んでいるところだった。
隣には写真で見た彼女が聡太の腕を掴んで並んでいる。
「聡太!? どうしてここにいるの?」
「こっちで暮らす用の買い出しだよ。千春こそ何してんの?」
「私も買い物」
隣にいる彼女を見ると目が合い、写真通りのふわふわした可愛らしい感じの女性でニコリと笑顔を見せてくれた。



