先輩、お久しぶりです


「その用事って藤井さんとのことかな?」

「――え?」


 昨日の二人を見てたのか、村元さんが眉間に少し皺を寄せながらペペロンチーノを口に運んでからそう言った。


「昨日うちの藤井さんと楽しそうに帰ってたんですよ。いくら昔付き合ってたからってあんなに堂々とされると、不倫でもしてるんじゃないかって疑いたくなるくらい仲良く帰ってて」


 先輩と加藤さんが……付き合ってた?


「ふ、二人付き合ってたんですか!?」

「そうですよー。でも別れたのは加藤さんの方からだったの。別の人と浮気して……ていうか、その相手が今の旦那さんみたいだけどね」

「あ……お医者さんの……」

「そうそう、分かりやすく玉の輿に乗り換えたって感じ。でも、藤井さんモテるから浮気が発覚した時、加藤何様!? みたいにみんなからバッシングされて。色々あって退職したんだけどそのあとすぐ結婚したみたい」

「そうなんだ……」

「藤井くんもバカよね。加藤の押しに負けて付き合いだしたはいいけど浮気されるなんて、都合よく遊ばれてただけじゃん!」


 遊ばれてた?

 それを聞いてなんとなく違和感を感じた。
 先輩は都合よく遊ばれるような人じゃない。
 むしろ遊ばれてたら、あんな嬉しそうな顔して腕なんて組んで歩かないはず。


 本当に嫌だったら、私みたいに徹底的に避けるだろうから……。


 もしくは、都合よく遊ばれてもいいくらい加藤さんのことが好きだったのかもしれない。
 そう考えたら昨日の二人に納得してしまう。


「でも楽しそうに帰ってたな……」


 あ、思わず心の声が口に出てしまった。