「それより、どうしたんですか?」
そう聞くと、意気揚々と入ってきたわりに気まずそうに腕と脚を組んで、外を眺めだした先輩。
なになに、どうした?
「俺も出かけてたから、ついでに来たんだけど」
「は……?」
ついでって……。
ついででわざわざ連絡して急いでここまで来たの?
なにそれ。
「暇なんですか?」
「……違う。ちょっと相談したいことがあったんだ」
いや、今の間は絶対暇だったんだ!
先輩は手で口を押さえて、恥ずかしそうにしている。
その場凌ぎの言い訳をした顔つきだっていうのはすぐ分かるのに。
でも黙ってよう。
「相談てなんですか?」
「片岡さんの出産ていつ頃になりそうかと思って」
「……」
片岡は美香のことだけど、結婚した今は陵介先輩の井口姓になっている。
それをわざわざ会ってまで聞くことかと聞かれれば、電話でもラ◯ンでも簡単に済む内容だ。
……え。そんなことをわざわざ?
「確か来年の4月頃だって聞いてますけど」
「そっか、じゃあ春頃だな。性別は?」
「聞いてないです」
「なるほど……子供が産まれてすぐって、あんまり外歩けないんだよな?」
「どうなんでしょ。出産したことないんでよく分からないですけど」
「確かに」
ふむふむ。といかにも何か思うところがあるような表情で聞いてくるけど、それって今すぐ必要なこと?



