「とか言いながら、鼻の下伸びてますよお兄さん」
「伸びてないわ!」
ふふふ、と笑いながら照れている聡太を見るのが楽しかった。
でも良かった、幸せそうで……。
「そういう千春はどうなんだ? 彼氏」
「え?あー、ん〜……特に何もないかな」
少し間が空いたのは一瞬、昂良先輩の顔が思い浮かんだから。
再会して間もない先輩とは、このあいだ相談を持ちかけられて食事に行ったくらいで特に何があるわけでもない。
少し打ち解けたものの、何かある相手にしてはわだかまりがあり過ぎて考えられないのもある。
「ほんとか? なんか隠してないか?」
変なところ鋭いんだよね、聡太は……。
「本当に何もないよ。今はまだそんな余裕ないし」
「……そっか。まあ俺が言えた義理じゃないよな」
「ううん、心配してくれてありがとう」
結局、聡太は頼んだバーガーをペロッと食べたあと、追加でチキンバスケットも完食していた。
「ほんと相変わらずよく食べるね」
「久しぶりに食べたらウマかった。今度、優も連れてこようかな」
「ふふ、そうしてあげて」
デレデレしちゃって。
なんだか弟を見てるようで微笑ましい。
バーガー屋さんを出た後は、聡太は今度帰ってくる勤務先のホテルに寄っていくというので、ここでお別れすることにした。
「じゃあ、今日はありがとうな」
「うん、こちらこそありがとう。あと本当におめでとう。優子さんによろしくね」
「分かった。また連絡するな」
「うん、またね」
後ろ髪を引かれることもなく、お互いあっさりとその場から離れていった。



