先輩、お久しぶりです


「だったら今度の休みに買い物付き合ってくれないか」

「ーーぅえ!? 私がっ?」

「お前なら二人の好みも知ってるだろうし、こういうのは女の方が得意だろ」

「それ、偏見ですよ」

「何にしても、そんな複雑な祝い品決めるのは俺だけじゃ無理。絶対ついてきてもらう。いいだろ?」


 コース料理の和牛ハンバーグをフォークに刺しながら、上から目線で言うわりに言ってることは子供のおねだりみたいなことを頼んできた。


 それに昔なら『行くぞ! わかったな』ってさらに上から言われたはずなのに、今は『いいだろ?』なんて子犬のようにキュルンとした目つきでお願いされたら……
 悔しいけど嫌とは言い辛くなってしまう。


「先輩って子供みたいですね」

「は? どこがだ」

「なんとなく」

「なんだそれ」


 昔もそうだったけど、俺様な態度かと思えば駄々っ子みたいなことを言ったり。急に可愛くなったり。
 そういうところが憎めないところだったりしたな。


「それより……お前ほんとに的場と付き合うのか?」

「な、なんですかいきなりっ」


 食べていた鴨ローストを落としそうになった。
 どうして急にそんなことを聞くのか。
 というよりもうこの話題には触れないでほしいのに。


「的場のこと好きなら……反対はしないけど、賛成も出来ないな」


 何言ってるのこの人。
 せっかく和やかに食事してたのに、賛成反対もなにもそれを先輩に言われる意味が分からないんだけど。


「待ってください。私、的場さんのこと好きだなんてひと言も言ってないですけど」

「ん?」

「勝手に勘違いしないでください」

「付き合ってみないと分からないって言っただろ」


 話の流れで言ったけれど、それは先輩が勝手に決めつけてるだけで、好きだなんて言った覚えはない。


「それは言葉のあやで、本当に付き合うとは言ってないですよ。そうやって何でも勝手に勘違いするの先輩の悪い癖ですよ」


 ナイフとフォークをお皿の上に置いて、真剣な目つきで先輩を見ながら説教モードに切り替えた。